バイブコーディング とは?表計算で試す入門ガイド

要約

バイブコーディング とは、やりたいことをAIに説明し、返ってきたコードを動かして結果で判断する作業です。表計算では、数式やApps Scriptをシートのコピーで試し、確かな数字と照合するのが基本です。データを直接書き換えるスクリプトは、特に慎重に扱ってください。

ゴールデンレトリバーがノートパソコンの表計算の横に座っている

バイブコーディング とは、やりたいことをAIに平易な言葉で説明し、返ってきたコードを動かして、中身を一行ずつ読まずに結果で判断する作業のことです。2025年2月にAndrej Karpathyが名付けました。表計算では、AIに数式やApps Scriptを書いてもらい、シートのコピーに貼り付けて、確かな数字と突き合わせる使い方を指します。

言葉の由来と、本来の意味

Karpathyの元の投稿は、「vibesに完全に身を任せ」て、コードの存在を忘れてしまうやり方を描いたものでした。捨てる前提の週末プロジェクト向けであり、本番のソフトウェアには勧めていません。

その後、言葉の意味は広がり、AIの助けを借りて書いたコード全般を指すことが増えました。Simon Willisonは、コードを読み、テストし、理解しているなら、それは通常のAI支援プログラミングであってバイブコーディングではないとエッセイで指摘しています。

このブログでの定義はこうです。バイブコーディングとは、コードを書く作業をAIに任せ、動いた結果だけで判断することです。 読まないほど、バイブ度は高くなります。

表計算が一番試しやすい理由

業務アプリでバイブコーディングを失敗すると、ユーザーのデータやセキュリティが絡みます。表計算なら影響範囲はずっと小さくなります。サンプルのデータがあり、期待する答えがあり、いざとなれば元に戻せます。

さらに、表計算には検算の仕組みが最初から備わっています。AIに合計を頼んだとき、SUMで出した数字と食い違えば、5秒で気づけます。

コーヒーとノートの横に置かれた、空のスプレッドシートが開いたノートパソコン

数式は、いちばん小さなバイブコーディングです

すでに経験があるはずです。「3月のParisでの売上を合計して」とチャットに入力すると、数式が返ってきた。それが、バイブコーディングの最小単位です。

セルに入れると、次のようになります。

=SUMIFS(C:C, A:A, "Paris", B:B, ">="&DATE(2026,3,1), B:B, "<"&DATE(2026,4,1))

ExcelとGoogleスプレッドシートのどちらでも動きます。SUMIFSはExcel 2007から使えるので、古いバージョンでも問題ありません。

ここでのバイブ度は、引数を読んだかどうかで決まります。既知の合計と照らして確かめたなら、リスクは低い作業です。

もう少し本格的に: スクリプトとApps Script

数式はセルの中で完結しますが、スクリプトはシートの外に出ます。メールを送ったり、シート名を変えたり、複数のファイルを回したり、データを直接書き換えたりします。バイブコーディングが危ないと言われるのは、ここからです。

Google Sheetsの教育者Ben Collinsは、背景色でセルを数えるApps Scriptを、バイブコーディングで作る過程を解説しています。組み込みの関数では数えられない作業です。彼は小さな依頼を積み重ねました。まずセルを数え、次に色名を加え、合計を出し、メニューを作り、結果をメールで送る。動かなければエラーメッセージをそのまま貼り戻しました。手作業なら1〜2時間かかる作業が、30分以内に終わったそうです。彼の結論は、最後に責任を負うのは自分だ、ということです。

うまくいく手順と、つまずく手順

うまくいく流れは地味ですが、それがポイントです。

  1. シート名、列、サンプルの1行を説明する。

  2. 一度に一つだけ依頼する。全体のシステムを一気に頼まない。

  3. 結果を、ファイルのコピーに貼り付ける。

  4. 正しいと分かっている数字と照合する。

  5. 壊れたら、エラーメッセージを一字一句そのまま貼り戻す。言い換えない。

つまずくのは、200行のスクリプトを一度に頼み、本番のファイルで実行し、3日後に6列目が1行ずれていたと気づくパターンです。

そのまま使えるプロンプトの型

曖昧な依頼からは、自信満々の誤答が返ってきます。次の形にすると、AIに必要な情報が渡ります。

Googleスプレッドシートで使います(Excelの場合はバージョンを書いてください)。
シート「Orders」: A列=注文日、B列=都市、C列=金額、1行目は見出し、データは480行目まで。
目的: 2026年3月のParisの金額合計。
数式を1つ示し、各引数を1行ずつ説明してください。

最終行を明示するだけで、範囲がずれる静かなエラーも防ぎやすくなります。

大半の誤りを見つける3つのチェック

結果を信じる前に、次の3つを実行してください。

3つとも通れば、結果を使って問題ないことが多いです。どれかが落ちたら、失敗したケースをそのまま貼り戻してください。見えているバグなら、AIは直しやすいものです。

コードエディタを開いたノートパソコンで、キーボードを打つ手元

実例: 重複した請求書番号を見つける

同僚から、A列に3,000件の請求書番号が入ったシートが届き、重複にフラグを付けてほしいと頼まれたとします。この作業にスクリプトは要りません。「A列の重複にフラグを付けて」と頼めば、B列に下へコピーして使える数式が返ってきます。

=IF(COUNTIF($A$2:$A$3001, A2)>1, "duplicate", "")

この数式は、どのバージョンのExcelでもGoogleスプレッドシートでも動きます。ただし罠は範囲にあります。データが3,500行まで増えると、数式は新しい行を静かに無視します。$A:$A のように列全体を指定するか、Sheetsなら ARRAYFORMULA を使うと安全です。古いExcelの配列数式にはCtrl+Shift+Enterが必要ですが、Excel 365では不要です。

同じ作業を、スクリプトで頼むこともできます。重複を赤くするApps Scriptです。動きますが、セルの色を直接書き換え、初回に権限を求め、次の四半期には誰も中身を見直しません。この規模なら数式の方が勝ちです。スクリプトが必要になるのは、送信、名前の変更、繰り返し、定期実行など、シートの外に出る作業のときです。

表計算でバイブコーディングが間違えやすい点

次の4か所には特に注意してください。

範囲の静かなずれ。 AIがA2:A100と書いても、データが480行まであれば、エラーは出ません。合計だけが静かに間違います。毎回、最終行を確認してください。

バージョンの違い。 XLOOKUP、LET、動的配列を使う数式は、Excel 2016や2019で失敗します。AIは手元のExcelのバージョンを知りません。必ず伝えてください。

ExcelとSheetsの構文の違い。 QUERYやARRAYFORMULAはGoogleスプレッドシートの関数で、Excelにはありません。チャットの回答が両方を混ぜると、#NAME?エラーで半日が潰れます。

データを直接書き換えるスクリプト。 列を「整える」Apps Scriptは、その列を上書きします。必ず複製したシートで先に試してください。初回の権限要求では、何を許可するのかを読んでください。

AIで数式を書くことと、バイブコーディングの違い

AIが書いた数式が、すべてバイブコーディングになるわけではありません。このブログでは、次のように分けています。

実務の表計算の多くは、真ん中の2つに入ります。それで構いません。大事なのはラベルより、信頼できる数字で確かめる習慣です。

使われているツール

単発の数式なら、普通のチャットAIで十分です。長いスクリプトや、継続して管理するファイルには、プロジェクト全体を見られるコード向けのツールが役立ちます。CursorやGitHub Copilotはコードエディタの中で動き、Claude Codeはターミナルから使えます。

ただ、「この作業の数式は何か」だけが知りたいなら、ツールは要りません。Formula.dogは、まさにその用途のために作られています。やりたいことを説明すると、Biscuitが数式を持ってきます。ExcelとSheetsの両方の書き方を並べて確認できます。

オフィスの廊下を、テニスボールをくわえて歩く子犬

自分の作業力が落ちるのでは?

もっともな心配です。AIが毎回数式を書くなら、SUMIFSの仕組みを覚えられるのでしょうか。答えは、説明を読んでいるかどうかで決まります。毎回、数式と引数ごとの説明を依頼すれば、構文は自然に身につきます。VLOOKUPを、他人のファイルをコピーしながら覚えたのと同じことです。

本当に失われるリスクは、構文を忘れることではありません。「この合計、多すぎないか」と感じる勘を失うことです。その勘は、バイブコーディングでも代わりがききません。だからこそ、合計チェックを最初に置いています。手で数式を組むシートを何枚か残してください。毎日必要ではなくても、なければ感覚が鈍ります。

チームで使う場合は、もう一つ注意点があります。誰も理解していない数式は、今動いていても引き継ぎの問題になります。ファイルを誰かが引き継ぐなら、その数式が何をするのか、どのプロンプトで作ったのかを、メモ用のセルに書いておいてください。

向いている人と、向いていない人

正しい答えが分かっていて、影響の小さいファイルで、複製を使って試せるなら、バイブコーディングは向いています。たとえば、週次レポートのテンプレートを作る運用担当者、キャンペーンの書き出しデータを整えるマーケター、宿題のロジックを確かめる学生などです。

給与、請求書、取締役会の資料に使うシートで、誰も出力を確かめられないなら、やめておきましょう。その場合は、AIに下書きをさせたうえで、すべての引数を読んでください。それはAI支援の作業であり、経理のファイルでは、そちらのラベルの方が安全です。

今日の午後、10分で始める方法

本物のシートのコピーを開いてください。「姓, 名」の形の名前を分けるなど、面倒な作業を一つ選びます。列の文字と例を1行示して依頼します。答えを貼り付け、手で確かめた3行と比べたら、そこで止めて構いません。

うまくいけば、それがバイブコーディングです。うまくいかなければ、エラーを貼り戻して、もう一度頼んでください。どちらの場合でも、Biscuitはちゃんと持ち帰ってきます。

よくある質問

バイブコーディング とは、簡単に言うと何ですか?
やりたいことをAIに平易な言葉で説明し、返ってきたコードを実行して、中身を読まずに結果で判断する作業です。Andrej Karpathyが2025年2月に名付けました。
ChatGPTにExcelの数式を書かせるのも、バイブコーディングですか?
数式を読まずに貼り付けるだけなら、そうです。各引数を読み、既知の合計と照らして確かめるなら、通常のAI支援の作業です。ラベルは使ったツールではなく、どこまで確かめたかで決まります。
Googleスプレッドシートでもバイブコーディングできますか?
はい。作業を説明し、AIに数式やApps Scriptを書いてもらい、シートのコピーに貼り付けて結果を確かめます。Ben Collinsのように、Apps Scriptの手順を示した解説もあります。
実際のデータがあるスプレッドシートでも安全ですか?
アプリに比べれば、元に戻せて複製で試せるので安全です。ただし、スクリプトがデータを直接書き換える場合や、給与や報告に使われているファイルでは危険です。必ず先に複製で試してください。
表計算でバイブコーディングするには、プログラミングの知識が必要ですか?
必要ありません。ただし、正しい答えがどう見えるかは分かっている必要があります。数式や短いスクリプトを読めると、範囲が途中で止まるといった静かなエラーに気づきやすくなります。
バイブコーディングとAI支援プログラミングの違いは何ですか?
バイブコーディングでは、完全に理解しないまま出力を受け入れます。AI支援プログラミングでは、コードを確認し、テストし、理解します。Simon Willisonは、両者を混同すべきではないと主張しています。